研究課題/領域番号 |
19203030
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浦 光博 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (90231183)
|
研究分担者 |
高谷 紀夫 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (70154789)
市橋 勝 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (10223108)
坂田 桐子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (00235152)
入戸野 宏 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (20304371)
礒部 智加衣 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (20420507)
|
キーワード | 社会的痛み / 経済的階層 / 経済的格差 / 自己コントロール / ハイメインテナンス相互作用 / fMRI / 全帯状回 / 背内側前頭前野 |
研究概要 |
社会的痛みの重層性について、マクロ、メゾ、ミクロそれぞれの観点からアプローチした。まず、マクロレベルからのアプローチとして、経済的な格差が個人の認知するソーシャル・キャピタル変数を仲介して健康満足度に及ぼす影響を分析した。経済的な階層意識が人びとの対人関係を劣化させ、社会的痛みにつながる可能性、さらには個々人の住む都道府県の格差の大きさがその関係を調整することが明らかになった。 メゾレベルからのアプローチとしては、日常的なハイメインテナンス相互作用が個人の特性的な自己コントロールに及ぼす影響について、縦断的デザインを用いた調査研究を行った。ハイメインテナンス相互作用が特性的な自己コントロールを低下させ、それがさらに対人関係の質を低下させる可能性が示唆された。さらに、これら一連の過程と文化的自己観との関連についても探索的な検討を行った。 ミクロレベルのアプローチとして、社会的な排斥とサポートが個人に及ぼす影響についてfMRIを用いた実験的検討を行った。社会的に排斥された場合に個人の感じる主観的な痛みや気分の変化は前帯状回の活動と関連しており,サポートの受け取りには背内側前頭前野の活動が関連していることが示された。 以上の結果を踏まえ、来年度は(1)経済的格差の影響過程についてより詳細なメカニズムを明らかにする、(2)メゾレベルの検討において文化的自己観の影響について詳細に検討する、(3)脳機能画像研究において排斥のリアリティをより高めた検討を行う。
|