研究分担者 |
高谷 紀夫 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 教授 (70154789)
市橋 勝 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 准教授 (10223108)
坂田 桐子 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (00235152)
入戸野 宏 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 准教授 (20304371)
礒部 智加衣 広島大学, 大学院・総合科学研究科, 助教 (20420507)
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研究概要 |
まず,本研究課題の問題と昨年度までの成果をまとめる目的で執筆した「排斥と受容の行動科学-社会と心が作り出す孤立」をサイエンス社から刊行した。そこでは,経済的な格差が個人の認知するソーシャル・キャピタル変数を仲介して健康満足度に及ぼす影響についての分析結果,ならびに社会的な排斥とサポートが個人に及ぼす影響についてfMRIを用いて行った実験の結果を報告した。 引き続き,社会的痛みの重層性について,マクロ。メゾ,ミクロそれぞれの観点から実証的な検討を進めた。マクロレベルからのアプローチとしては,個人の経済的な階層意識が,公正なる世界観が一般的信頼に及ぼす影響を調整することを明らかにした。また,メゾレベルの観点からのアプローチとしては,個人が社会に裏切られた経験によって一般的信頼がダメージを受ける過程において,対人的なネットワークの豊かさがそのダメージを緩和することを明らかにした。 さらには,マイクロレベルの観点からの検討として,社会的痛みと文化的な文脈との関連に関して縦断的なデザインの調査を行った。具体的には,課題的なストレスフルイベントと対人的なストレスフルイベントが文化的自己観の変化に及ぼす影響を自尊心の水準がどのように調整するかについて分析した。結果は,高自尊心者は課題的なストレスフルイベントの経験によって独立的な自己観を高める可能性が示唆され,対人的なストレスフルイベントの経験によってそれを低下させることが示された。
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