本研究は、パブリックセクターの高等教育機関の授業料を国際比較によって検討しようとするものである。研究2年目は、まず日本の戦後の国立大学の授業料について、国会記録等を収集整理し、授業料決定や戦後の国立大学授業料に関する国会審議についての知見を得た。また大学財政史の専門家から、戦前前後の授業料の実態についての研究を紹介してもらい、今後の研究についての示唆を得た。 日本の国立大学の授業料水準の動向を見るため、全国立大学の学長、財務担当理事、学部長を対象にアンケート調査を行い、回答を得た。研究次年度に回答内容の分析を行う予定である。さらにアンケート調査内容を補完するため、弘前大学の財務担当理事を訪問し、インタビューを行った。 またヨーロッパの大学授業料については、アイスランド、デンマーク、ドイツ、チェコを訪問し、政府および大学関係者から授業料水準の動向について情報を得た。 アメリカの州立大学の授業料については、資料収集およびインタビュー調査からなる現地訪問調査を行い、授業料設定のメカニズム、方法、について情報を得た。本年度は、州政府と州立大学との関係が薄いといわれるミシガン州を調査した。州政府、州高等教育委員会、ミシガン州立大学理事、教育学部、財務部、国際部などを訪問し、それぞれのところで資料を収集し、関係者にインタビューをおこなった。
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