本研究は、パブリックセクターの高等教育機関の授業料設定の在り方を国際比較によって明らかにしようとするものである。 この目的を達成するために、本年度は日本の全国立大学の学長、財務担当理事、獏部長を対象にアンケート調査を行った。アンケート内容は、国立大学授業料の現在の水準と今後の動向、授業料設定の現行制度評価、国立大学の授業料免除と奨学金制度についての意見を含む、財務と経営に関するものである。その結果、国立大学の管理者は、現行の国立大学の授業料水準を概ね妥当と考え、20%まで独自に設定できる授業料設定方法にもある程度賛成していることが判明した。アンケート調査分析は、研究代表者と連携研究者が、日本高等教育学会および国立大学財務・経営センターのシンポジウムで発表した。 海外の高等教育機関の授業料については、まずフィンランドで、ヘルシンキ大学関係者にインタビューした。フィンランドでは授業料無償が原則支持されるが、財政ひっ迫もあって授業料の徴収も検討課題であることが確認できた。 オーストラリアでは、オーストラリア国立大学、オーストラリア主要大学協会、キャンベラ大学関係者にインタビューした。そこでは自国学生の授業料後払い制度について情報を収集した。また外国人学生については授業料が、各大学で独自に設定できることによって、授業料が上昇する可能性があることが判明した。
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