研究概要 |
1. レジスタンス距離の視点から,有限ネットワークの収束理論を展開し,理論の区切りをつけた.今年度は主に無限ネットワークを有限ネットワークの極限として捉える視点からの研究を行い,倉持コンパクト化とその境界,有限ネットワーク族のある種の弱位相での無限ネットワークへ収束とレジスタンス距離の収束の関係などについて研究した.たとえば,目現ネットワークへの収束においても,距離収束より有効抵抗を用いた収束収束がより精密であることをしました.また倉持境界上のノイマン問題と倉持境界の具体的な例を構成した.これらの成果は,研究論文:Convergence of metric graphs and energy formsの修正版において纏めた. 2. 有界次数の無限グラフの集合と“局所有限な幾何を持つ“完備非コンパクトリーマン多様体のなす集合は粗イソメトリのもとにある意味で同一視できることが知られて以来,数多くの研究成果がある.本研究では,この同一視において,昨年度に続き,グラフとリーマン多様体上の指数pのエネルギー有限な関数空間を解析し,p-レジスターの導入とその粗イオメトリ不変性を明らかにした.また関数空間の構造をp-レジスターの性質と合わせて議論を行い,新たな問題への展開を試みた. 3. 2-調和写像や2-ヤング・ミルズ接続という新しい変分問題について研究し,特に成果としてB.Y.Chenの予想の部分的解決として,非正曲率空間への2-調和写像のテンション場とその共変微分がともに二乗化積分であるものは,調和写像に限ることを証明した.
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