研究課題/領域番号 |
19204011
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
落合 啓之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (90214163)
|
研究分担者 |
伊師 英之 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 准教授 (00326068)
|
キーワード | 表現論 / 積分変換 / 超幾何関数 / 保形形式 / スペクトル分解 / ホロノミー系 / ルート系 |
研究概要 |
本研究では、表現論や関連研究に現れる特殊関数を取り扱う。積分変換や超幾何関数の手法や経験にも基づくが、超幾何関数を越えて行くことを遠望している。まず、Zunderiya Uuganbayar(名古屋大学)との共同研究では、多変数超幾何微分方程式系の関口英子(東京大学)によって拡張されたものの研究を推し進めた。この方程式系は不定値ユニタリ群の表現をペンローズ変換で与えたときの特徴付けに関係するものであり、重複度有限性は小林理論の思想圏内にある。我々の共同研究では、非ホロノミー系であるという予想の解決(フルランクあるいは行列サイズが4以上の場合)、非ホロノミー系であるにもかかわらず原点正則解の有限次元性の純微分方程式的根拠づけ、ならびに次元の組み合わせ的(Kostka数)表示とそれによる漸近評価の改良を与えた。有限次元性の根拠は小林理論と互いに他を含むものではなく、独立に興味深い。論文は投稿中である。伊吹山知義(大阪大学)、葛巻孝子(岐阜大学)との共同研究では、ジーゲル保形形式に働く定数係数の偏微分作用素の特殊関数的な表示を企図し、研究を進めた。柏原Vergneの重複度自由の設定を活かし、変数分離の長い計算を経て、BC型のルート系に付随する球函数との関係づけが得られるというところまで一般の階数で導出した。論文執筆の最終の段階にある。また、黒川信重(東京工業大学)との共同研究では、ヒルベルト行列の交代行列版の固有値分布を研究した。特殊な反自己共役な積分作用素と見ることでDirac作用素とも考えられる。対称行列版は良く研究されているが交代行列版は研究が少なく、しかし、むしろ、非自明な固有値の規則性が交代行列版に観察されることを指摘し、種々の予想を提唱した。将来の研究を促す点で意義あると考えている。
|