研究分担者 |
重川 一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00127234)
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50202057)
中西 賢次 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40322200)
大鍛冶 隆司 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20160426)
太田 雅人 埼玉大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (00291394)
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研究概要 |
非線形発展方程式の初期値問題に対する解の一意性は,解の存在と同様に最も基本的な問題の一つである.今年度は,非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に対し,解の一意性について研究した.解の一意性の概念は,大雑把に言って二つに分けられる.一つは無条件一意性とよばれるもので,方程式が意味を持つための最も広いクラスに属する解の一意性である.もう一つは.条件一意性(conditional uniqueness)とよばれるもので,方程式の意味づけに必要な関数空間に属するだけでなく,多くの場合解の存在定理を証明するためには条件を解に付加することが必要なため,それに対応した一意性のことである.この付加条件は,通常解の存在定理の証明方法に依存する.言い換えると,無条件一意性とは解の存在証明に依存しない一意性定理である. 今年度の研究成果例として,空間5次元でゲージ不変な2次の非線形性を持つ非線形シュレディンガー方程式を取り,指数1/2のソボレフ空間に属する解の一意性について述べる.このケースは,いわゆるスケール不変な問題に相当し,多くの場合初期値問題の適切性が成立するか否かの境目になると予想されている.さらに,ゲージ不変な2次の非線形性は2階微分が連続ではないため,スケール不変なケースの中でも,数学的にきわめて興味深い問題であった.今回,負の指数のソボレフ空間における二つの超関数の積に関し新しい評価を証明するとともに,絶対値関数の斉次ベゾフ空間における連続性を示すことにより,無条件一意性を証明することに成功した.
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