研究分担者 |
重川 一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00127234)
國府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50202057)
西和田 公正 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60093291)
中西 賢次 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (40322200)
大鍛治 隆司 京都大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (20160426)
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研究概要 |
中西賢次氏は,Stefan Gustfson氏,Tai-Peng Tsai氏とともに,シュレディンガー写像流および調和写像の熱流のもとでの,調和写像の安定性と不安定性を研究した.彼らは,$R^2$から$S^2$への調和写像を考え,その写像度が3以上ならシュレディンガー写像流のもとで漸近安定であることを示すとともに,熱流のもとで写像度が2の場合は不安定であることを暗示する無限に凝縮と拡散を繰り返すような解が存在することを示した.後者のような奇妙な振る舞いをする解が存在するか否かは長年の未解決問題の一つであり,この解決は大きな研究成果であると言える.彼らの証明は,特異性を持つシュレディンガー方程式に対しStirichartz評価式を確立することと,ダイナミックスの主要部を巧妙に抜き出してより単純な方程式系の解析に帰着させるという二つの部分からなる.これらの手法は,それぞれ独立に興味深く,今後他の問題への応用が期待される. 堤は,宮路智行氏,大西勇氏とともに,光学的空洞共振器の数理モデル方程式であるLugiato-Lefever方程式の定常解の分岐を調べた.今年度は昨年度に引き続き,中心多様体縮約を用いた研究を進めた.その結果,十分大きな自然数nに対して,nモードと(n+1)モードの固有関数を持つゼロ固有値の存在を示し,さらにそこからモード相互作用(mode interaction)する分岐が起こることを示した.モード相互作用は,いわゆる空洞ソリトン形成の種になる現象と考えられており,今後これをもとに空洞ソリトンの存在を数学的に証明することが目標となる.
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