研究概要 |
2次特性点を持つ双曲型方程式を分類する,という基本的な問を研究した.どのGevrey空間で初期値問題が低階にかかわらず適切になるか,を基本概念として,そのGevrey指数で双曲型作用素の構造を決定する,という立場で考察を重ねた.その結果非実効果的双曲型作用素に対しては,ハミルトン写像の二乗の核と像の共通部分から成る線形空間が零空間の場合には,上に述べたGevrey指数の最大は2で,かつこの指数は最良であることが示せた.さらに,この線形が零空間でない場合には,このGevrey指数は,この線形空間のみでは決定されず、零陪特性帯の挙動が深く関係することが分かった.詳しく述べると,2次特性多様体に極限点をもつ零陪特性帯が存在する場合には,上記Gevrey指数は3でかつこのGevrey指数は最良であること,2次特性多様体に極限点をもつ零陪特性帯が存在しない場合には,上記Gevrey指数は4でかつこのGevrey指数は最良であることが分かった.以上のことより,強Gevrey適切性指数が非実効果的双曲型作用素の構造を完全に決定することが示された. 平成21年11月には,相空間解析の牽引者である研究者達を国内外から招聘し,滋賀県の大津市で国際研究集会を開催した. 平成22年2月には,姫路で兵庫県立大学の研究者たちと共催で,相空間解析に関する国際研究集会を開催した.
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