研究概要 |
2006年のLongoとの共著論文で,moonshine頂点作用素代数の作用素環版を構成した.それは,自己同型群がMonster群で,そのcharacterが,j-関数になるものであった.今回はそのsuper版を,Conway群Colについて,Duncanの頂点作用素代数の構成を元に構成した.すなわち,c=12のN=1超共形ネットであって,N=1超共形構造を保つような自己同型の群がConway群Colになるものを構成した.手法は,枠付き共形ネットを用いるものである.さらに同様の手法を用い,Rudvalis群を自己同型に持つようなc=28の超共形enhancedネットを構成した.ここでenhancedネットの意味は,ある部分超共形ネットを固定する構造を考えると言う意味である. また,Connesの非可換幾何学は数学,数理物理学の多くのテーマに関係する壮大な理論であるが,ここで「非可換」多様体に当たる概念はspectral tripleと呼ばれるものである.Carpi, Hillier, Longoと共に,Ramond algebraのある表現からspectral tripleのnetを構成し,超共形場理論と非可換幾何学を関係づけた.これより以前に,Longoと共に,Weylの古典的定理と共形ネットのcharacterの漸近挙動の類似から,共形ネットが無限次元多様体のようにふるまうこと,さらにある種の正規化の後では「次元」が2であるようにふるまうこと,共形ハミルトニアンがラプラシアンと似ていることを示した.これと,Dirac作用素との類似から,超共形場理論のスーパー・チャージ作用素が,Dirac作用素の類似となることが分かる.このアイディアをきちんと正当化したものが我々の論文である.
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