研究概要 |
片岡・河合の担当する理学系では、ガンマ線偏光検出器の各種パラメータの検討・検出器のハードウェア製作を中心に開発を行った。昨年度に引き続き電磁シミュレータ(Geant 4)を用いた検出器ユニットの最適化と宇宙用高感度光検出器の開発を進め、都立産業試験場で詳細な耐振特性評価を行った。HIIロケットで予測される振動の2倍以上となる振動レベル(17G)でもゲインは10%以内で変化がなく、宇宙用検出器として極めて優れた特性が得られた。これらの結果はNuclear Instruments and Method Section Aに査読論文として掲載されたほか(Toizumi, Kataoka, Kawai et al.2009)、イギリスGlasgowにおける国際会議(8^<th> International Conference on Position Sensitive Detectors)においても口頭発表をおこなった。さらに、ガンマ線バーストの検出論理を前面的に見直し、シミュレーションから判定時間や閾値レベルの最適化設計を行った。これらの論理をハードウェアに反映し、VMEベースの「ガンマ線バースト判定回路」を実機で製作し、実機評価を行った。これと併せてAPD系・PMT系の信号処理系(フロントエンドカードやCPUボード)の開発を行い、来年度のEM品製作に向け着々と準備が整っている。 松永の担当する工学系ではCMGを搭載した小型衛星の高速姿勢制御システムの構築を目指して、最適経路計画法のひとつである勾配法を用い人工衛星の高速姿勢変更のためのCMG駆動則を提案した。同時に、新しい姿勢表現であるWZパラメータを用いたフィードバック制御則の有効性を検討した。また小型衛星実搭載を想定し多摩川精機で共同研究開発を行っている小型CMGについて、駆動回路システムを実装して性能評価試験を行い、良好な結果を得た。
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