研究課題
理学系はこれまでの基礎設計に基づき、実際の偏光検出器開発を行った。今年度の開発では新たに人工衛星に適した低消費電力・高性能の32素子同時読み出しVLSIを採用し、トリガー生成・波形整形・AD変換までをオンボードで行う信号処理システムを構築した。また、処理回路や検出器群の複雑な3次元配置を実現するために専用筐体を開発し、電源を供給するだけで単体で動作する検出器ユニットのプロトタイプを完成させた。本年度12月には、高エネルギー加速器研究機構においてこの検出器ユニットの偏光ビーム試験を実施した。計4日間のビームタイムを用いて、光軸中心・オフアキシス・斜め方向照射などの様々な条件での偏光検出性能を調べた。特に、光軸中心にX線ビーム(82.5keV・偏光度90%)を照射したときのモジュレーションファクターは72.3±1.8%とシミュレーションによる予想(67.2±0.5%)と良く一致しており、本検出器が想定した性能を発揮することを実証できた。工学系について、今年度はCMGの実用的な迅速姿勢制御法の構築を目指し、CMGジンバルの同期操作を考慮しつつ、オイラーの固有回転定理を基礎とした簡易誘導法と、モデル誤差と擾乱に対するロバスト性を確保する非線形フィードバック制御法を組み合わせた方法を提案し、詳細力学モデルを用いた数値シミュレーションにより、本方法がロバスト性を有しながら迅速大角度変更できることを示した。また、小型衛星実搭載を目指して研究開発している小型CMGについて、宇宙仕様にするための検討を詳細に行い、ロータ・ジンバル・エンコーダなどの機構部分や駆動計測制御回路の設計を見直し、耐真空性やロータ寿命延長の工夫を行なった。
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