すばる望遠鏡用コロナグラフ究極補償光学系(SCExAO)は太陽系の外にある恒星の周りにある非常に暗い惑星を探査するために、恒星の像を究極まで鮮鋭にし、かつ周りへの光の散乱を低減するための光学システムである。この装置は、すばる望遠鏡に既設のすばる望遠鏡共同利用補償光学系AO188と、太陽系外惑星探査観測装置HiCIAOに組み込むことにより、系外惑星検出能力を大幅に向上させることを目的とする。平成20年度は、このSCExAO用の光学系、機械系を設計、製作し、その組み立てをおこなった。これは本来近赤外線域で使用するものであるが、試験の容易な可視光線で性能実証ができるように設計されており、実験室において可視光線を使った評価試験を実施した。そして、すべての重要なコンポーネントが必要な機能を満たすことを確認した。その結果を論文にまとめ、査読雑誌に投稿している。現在は、このシステムをHiCIAOとAO188に取り付けるための支持機構を設計中である。また、この装置の波面制御アルゴリズムの性能試験については既設の位相導入コロナグラフ(PIAA)試験装置を使って実施した。また、画像取得後のポストプロセッシングのアルゴリズムについての性能評価も行った。それらの結果も論文にまとめられ、専門雑誌に投稿した。開発チームはこのシステムを2010年の初めに望遠鏡に取り付けることを計画している。それと平行して開発チームはSCExAOの将来の性能向上のための技術開発を継続して行っている。
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