研究課題/領域番号 |
19204020
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
北村 良実 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (30183792)
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研究分担者 |
中川 貴雄 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (20202210)
山村 一誠 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (40322630)
土井 靖生 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (70292844)
河村 晶子 名古屋大学, 理学研究科, 特任講師 (30377931)
岡本 美子 茨城大学, 理学部, 准教授 (10343469)
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キーワード | 赤外線天文学 / あかり / 遠赤外線マップ / 分子雲 / 星形成 |
研究概要 |
3年目の昨年度は、サイエンスが可能となる質の高い遠赤外線広域マップの作成を目標に、データ処理パイプラインプログラムのさらなる高精度化と高速化を行った。それと並行して、これまで開発してきた解析ツールを使い、カメレオン座分子雲遠赤外線マップに対して本格的な解析を行った。 データ処理パイプラインについて行った高精度化は主に次の2点である。1)スキャンパターンの除去ルーチンについて、全天のマップに一律に適用可能なアルゴリズムの確立を図った。その結果、領域毎の微調整無しに一定の質の画像を得る事を可能にした。2)得られた画像の詳細な評価を行い、解析パイプラインへのフィードバックを進めた。特に得られた天体強度に対する主要な誤差要因であった過渡応答補正の精度向上を図り、非線形性の大幅な改善を得た。これらの高精度化により、遠赤外線4バンドマップ全ての拡散光強度について、30-50%程度の相対精度及び絶対精度を得る事に成功した。この成功により、科学的解析に堪える質の画像データをチームメンバーへ提供できる段階へ到達できた。 カメレオン座分子雲の遠赤外線マップについては、中間赤外線マップとの比較による位置補正、手動による細やかなスキャンパターンの除去、COBE_DIRBEマップとの比較による強度較正を行ったあと、次の本格的な解析を行った。 1)原子雲と分子雲の2成分に分離し、温度と柱密度分布を導出した。2)2成分の柱密度マップを統計的手法によって解析し、乱流場の確率密度関数やパワースペクトルを導出、比較した。3)電波データから乱流速度場についての情報を抽出し、密度場と組み倉わせた。4)ダストコアの質量関数を導出し、星の初期質量関数と比較した。これらの解析から、初期質量関数で記述される星質量の多様性の起源は、希薄な原子雲に存在する亜音速乱流にまで遡れることが示唆された。
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