研究課題/領域番号 |
19204029
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
松尾 由賀利 独立行政法人理化学研究所, 本林重イオン核物理研究室, 先任研究員 (50231593)
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研究分担者 |
古川 武 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, グローバルCOE研究員 (30435680)
旭 耕一郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80114354)
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キーワード | レーザー核分光 / 超流動ヘリウム / 超微細構造 / レーザーマイクロ波二重共鳴 / 不安定核原子 / レーザー誘起蛍光 |
研究概要 |
本研究は、既存の手法では測定が困難である低収量な短寿命不安定核原子について、100%近い閉じ込め効率が期待される超流動ヘリウムを高速イオンビームのストッパーとして用い、レーザーとマイクロ波またはラジオ波との二重共鳴分光法によりその超微細構造および磁気副準位間隔を精密に測定して、核の電磁気モーメントやスピンなど原子核構造を表す物理量を高精度で求めることを目的とする。特に、Rb安定核原子を用いた実験で明らかになっている超流動ヘリウム中における超微細構造異常の変化から得られる原子核の構造情報について、存在限界付近の不安定原子核へと中性子数を変化させて測定する。本研究目的遂行のためには、不安定核ビームを入射してレーザー照射径の範囲内にその停止位置を制御することのできる大口径光学窓付き超流動ヘリウムクライオスタットとその制御システムの構築、限られた個数の原子からのレーザー誘起蛍光を高効率で検出するための大立体角光学検出系の開発が重要な鍵となる。本年度はRb不安定核ビームを用いた加速器実験のために、イオンビーム打込み用クライオスタットの製作と、Rb原子検出用大立体角光学系の設計製作を行った。ビーム打込み用クライオスタットは熱流入を低減させることにより、4方向に光学窓を有するにも関わらず約1.6Kの超流動状態で12時間以上の連続運転が可能になった。大立体角光学検出系では大口径フレネルレンズと空間フィルター、光学フィルターを効果的に組合せることで、原子からの発光(S)とレーザー散乱光(N)のS/N比を飛躍的に向上することに成功した。これにより10^5ppsのビーム入射に対してS/N=500程度の光学信号を検出できることがシミュレーションで示され、低収量、短寿命不安定原子核の構造を研究する新手法への道が拓かれた。
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