研究概要 |
マイクロ波域パルス伝導や低温SPMによる局在スピン挙動の観測を行うための準備として,開放系量子構造での電子間相互作用について調べた。共鳴相互作用を調べるために,互いに十分離れた細線形状の異なる量子細線を,高移動度半導体基板上の表面ゲート形状を変えることにより,同一基板上に何種類か設置して測定試料を作製し,磁気伝導を観測して開放系量子構造での電子間相互作用を調べた。その結果,外の2次元電子系との断熱的接続を行うことにより,近藤効果に違いがあることを発見し,これを利用して,局在スピンの出現を制御することにより,共鳴相互作用を詳細に調べることがわかり,現在論文作成中である。同時に,この細線形状の違いによる低温磁気伝導の結果については,平成19年度のいくつかの国内外学会にて発表している。研究分担者の青木は,スピン操作を確認するため極低温で動作するSPMを開発し,その基礎動作に関しても確認することが出来た。さらに,研究分担者の中山は高性能の計算機を導入し,非弾性課程を取り入れた量子結合系の電流や,格子振動の時間に依存した現象などをシミュレーションし,電子相関のダイナミカルな数値計算を行う準備が出来た。以上の研究については,海外共同研究者のニューヨーク州立大学バッファロー校のJ.P.バード教授とも議論を行い,上記共鳴相互作用やマイクロ波によるスピン操作についての議論を行い,日米双方共同で実験研究を進めている。
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