研究課題
強相関電子系では様々な量子相が競合しているため、外部かちの小さな摂動により、秩序相間の移り変わりやそれぞれの相とは全く違った量子現象が現れる。例えば、強磁性金属を2つの超伝導体ではさむことにより、強磁性金属中に両超伝導状態(ゼロ状態)とは違った超伝導状態(π状態)が誘超される。一方、絶縁体を2つの超伝導体で挟んだ従来のジョセフソン接合に直流電圧を印加すると交流電流が流れる。その周波数と接合の共振モードとが一致するとき、各モードに対して直流電流が現れるFiske共鳴と呼ばれる現象が知られている。当該年度において、絶縁体の代わりに強磁性体を用いた場合のFiske共鳴に関する定式化を行った。まず、交流ジョセフソン電流によって接合内に生じる電磁場をMaxwell方程式、強磁性体の動的磁化に対してはランダウ-リフシッツ-ギルバート(LLG)方程式をそれぞれ解く。Maxwell方程式とLLG方程式を解くことによって求めた電場を、超伝導秩序パラメータの位相差に対する運動方程式に用いることで、Fiske共鳴によって誘起される直流ジョセフソン電流を計算した。その結果、従来のジョセフソン接合と異なり接合内に励起された各共振モードに対して、2つの直流電流が現れることが分かった。この結果は、交流ジョセフソン電流によって接合内に励起された電磁場が強磁性体の磁化に作用し、スピン波が励起されたためであることを示唆している。そして、超伝導体のダイナミクスと強磁性体のダイナミクスとの結合モードの存在と観測可能性を示している。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (29件) 図書 (1件) 備考 (1件)
J.Phys.D Appl.Phys. 43
ページ: 015003-15011
J.Magn.Magn.Mater. 322
ページ: 1192-1194
Nature Materials 9
ページ: 299-303
J.Phys.: Conf.Ser. 200
ページ: 062007(1-4)
Phys.Rev.B 79
ページ: 125120(1-6)
Physica B condensed matted 404
ページ: 1159-1168
Appl.Phys.Lett. 95
ページ: 052902(1-3)
Phys.Rev.Lett. 103
ページ: 1186401(1-4)
J.Phys.Soc.Jpn. 78
ページ: 123704(1-4)
ページ: 266402(1-4)
http://www.maekawa-lab.imr.tohoku.ac.jp/