研究課題/領域番号 |
19204036
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田口 康二郎 独立行政法人理化学研究所, 交差相関物質研究チーム, チームリーダー (70301132)
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研究分担者 |
岩佐 義宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (20184864)
藤 秀樹 神戸大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60295467)
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キーワード | 層状超伝導体 / 少数キャリア / 電子格子相互作 / 同位体効果 / 上部臨界磁場 / クリーンリミット / 変調ドープ半導体 / 層間距離制御 |
研究概要 |
今年度は、LiXZrNClにおいて、14Nおよび15Nを用いた試料を作製して同位体効果測定を行った。作製した試料が構造的にほぼ同一のものになっていることは、SPring-8の粉末X線回折実験から確認した。ラマン散乱の測定を行い、600cm^<-1>付近の窒素振動モードの周波数は確かに変化していることを確かめた。これらのキャラクタリゼーションを行った上で、Tcの変化を測定したところ、その変化はわずかであり、同位体シフト係数αにして0.07と大変小さいことが明らかになった。このことは、この系のTcがフォノンの振動数だけでは決まっていないことを示しており、他の揺らぎが電子対形成に寄与している可能性を強く示唆している。さらに、Li量xを系統的に変化させた試料を作製し、磁場中での電気抵抗測定を行い、上部臨界磁場のx依存性を決定した。上部臨界磁場は、ドーピングの増大とともに急速に減少する。また、それから得られたコヒーレンス長を解析したところ、この系は、クリーンリミットの超伝導体であるか、または、変調ドープした半導体のように、ドーパントの散乱の影響を受けにくい系であることが明らかになった。さらに、平均自由行程の下限を見積もり、多結晶試料を使ったにも関わらず、残留抵抗率の上限値のx依存性を明らかにすることができた。また、これまで単相試料合成が難しかったLixHfNCl試料の作製に成功し、その電子相図を明らかにすることができた。Tcはキャリア数にほとんど依存せず、ほぼ20Kという値をとることが明らかになった。
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