研究概要 |
Lal-xSrxMnO3(LSMO)/NbドープSrTiO3(Nb: STO)のヘテロ界面において生じる界面ダイポールの起源について明らかにするためにLSMO/Nb: STOのバンドダイアグラムの組成依存性を光電子分光法により決定した. その結果, 界面ダイボールの大きさはLSMOx=0.4で最大値をとり, x=1.0のSrMnO3/NbSTO界面では界面ダイポールの値が0になることを見出した. この結果は, 界面ダイポールの起源として極性不連続が重要であることを示している. LSMOの極性不連続が表面電子状態に与える影響を調べるために, 表面電子状態の組成依存性の測定を行った. 極性不連続性を解消するために, 表面においてはイオンの移動や欠損が起こり, その量は極性が大きくなるにつれて(xが小さくなるにつれて)多くなるという変化を示すことが期待される. しかしながら, 表面の析出物(主にSrOx)の量は組成によらず一定であった. この結果は, 析出物SrOxはLSMO成長過程のサーファクタントとして働いているだけで, 電荷不連続の解消はイオンの移動ではなくMnの価数変化により解消されていることを示している. 典型的なフェルミ液体系と考えられているLa-xSrxTiO3の原子的に平坦な薄膜を作製し, 光電子分光を行った. 内殻光電子分光による試料のキャラクタリゼーシ占ンにより, La置換によりドープされた電子がSrTiO3のTi3dバンドを占有していく様子を調べた. ドープされた電子量がLa置換量より少なく, 表面の極性によるポテンシャルの発散を抑制する効果であると解釈した. 原子レベル精度で制御された表面をもつ酸化物薄膜SrV03について, 3次元的なバンド・マッピングおよびフェルミ面のマッピングを行った. その結果, 高温超伝導銅酸化物に見られるように, フォノンによると思われるキンク構造の他に, 高エネルギーキンクに対応すると思われる構造が観測された.
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