研究課題/領域番号 |
19204038
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田島 節子 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70188241)
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研究分担者 |
宮坂 茂樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70345106)
増井 孝彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教 (10403099)
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キーワード | 高温超伝導体 / テラヘルツ波時間領域分光 / 電荷応答 |
研究概要 |
銅酸化物高温超伝導体の低エネルギー領域の特異な電荷応答を調べるという目的にそって、当初の計画通り、以下の研究を行った。 (i)試料は、Ca置換したYBa2Cu30y(Y/Ca123)単結晶や(La, Sr)2Cu04(La214)を自作し、T12Ba2Cu0z(Tl2201)については、共同研究先より提供を受けた。 (ii)テラヘルツ波反射型時間領域分光システムについては、測定精度向上のための改良を加え、信頼性の高い光学スペクトルを液体ヘリウム温度までの温度可変で測定できるようになった。La214のc軸偏光スペクトルを測定したところ、予想されたジョセフソンプラズマ以外に、面間結合定数が複数ある場合に現れるダブルジョセブソンに起因したピークが観測された。 (iii)ラマン散乱スペクトルに関しては、Tl2201結晶を用いて、過剰ドープ領域の超伝導対破壊ピークを中心としたスペクトル測定を行った。その結果、この物質でも過剰ドープが進むにつれて対破壊ピークの偏光依存性が消失していく様子が観測され、この異常な応答が高温超伝導体共通の性質であることが明らかになった。 (iv)Ca置換YBCOについて、磁場下での抵抗率及び磁化測定を行ったところ、上部臨界磁場の異方性比が、キャリアドープレベルp=0.19付近で約3という非常に小さい値(ほぼバンド計算値)になることが確認され、擬ギャップの消失と異方性の減少との関連性が示唆された。一方、擬ギャップが消失してもなお、面間伝導はインコヒーレントであることがわかり、面間伝導機構のインコヒーレント性の起源は強い電子相関にあることが確認された。
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