研究課題/領域番号 |
19204040
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 剛三郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (30155262)
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研究分担者 |
松田 和博 京都大学, 工学研究科, 助教 (50362447)
乾 雅祝 広島大学, 准教授 (40213136)
星野 公三 広島大学, 総合科学研究科, 教授 (30134951)
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キーワード | アルカリ金属 / 電子ガス / 金属流体 / コンプトン散乱 |
研究概要 |
電子ガスが低密度化すると、電子半径パラメータが5.25のところで圧縮率が負となることが理論的に予測されている。本研究は、電子ガスモデルがよく成り立つアルカリ金属流体を対象とし、その超臨界状態を利用することにより、電子密度ならびにイオン密度を大幅かつ連続的に低下させ、電子ガスの圧縮率が負となる低電子密度領域を実験的に実現すること、さらにコンプトン散乱測定により電子運動量密度分布を求めることによって、物性物理学的重要性にも関わらず未だ解明されていない電子ガス不安定挙動を直接観測することを目的とする。今年度は、これまでの実績と経験をもとにしてコンプトン散乱測定のための高圧容器を新たに設計・製作し、これをコンプトン散乱測定が可能な SPring-8のビームラインBLO8Wへ設置し、調整を行った。このことにより、来年度の低密度アルカリ金属流体のコンプトン散乱測定に向けた技術開発と調整をすべて完了した。高圧容器は耐圧250気圧、1700℃までの昇温が可能である。同時に、予備実験として、現有の真空容器を用いて常圧下で融点近傍の液体ルビジウムのコンプトン散乱測定を実施した。実験はBLO8Wの高分解能コンプトン散乱ビームラインにおいて実施した。容器をサンプルステージに設置して散乱角約165゜の後方散乱の条件で測定を行った。試料容器として、ステンレス製試料容器を作製し、予めルビジウム試料を封入してSPring-8のビームラインに搬入した。ルビジウムの融点近傍(60℃)でコンプトン散乱測定を行うことに成功した。ピーク値で50万カウントの良好な信号ノイズ比を有するコンプトンプロファイルを測定することができた。コンプトンプロファイルから見積もられたフェルミ波数は0.36(a.u.)となり、この値はこの密度(1.48g/cc)におけるルビジウムのフェルミ波数0.357(a.u.)とよい一致を示した。
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