研究概要 |
○地震観測地震観測点を27ヵ所に増設し,低速度異常域の直上では,観測点の間隔は500m〜1km程度,その周辺でも2km程度と,高密度の観測網を構築することができた.観測を継続して新たなデータを蓄積するとともに,既存データの処理・解析を進め,より多くの読み取りデータを用いて,速度構造の推定を行った.また,昨年度の解析により,低速度異常の周辺で応力場の局所的な乱れを見出しているが,より広い領域のデータを用いることにより,応力場の異常が低速度異常域の近傍に特徴的なものであることが分かった.また,スペクトル解析により,微小地震の応力降下量の空間変化を見積もった.これまでの解析によると,低速度異常の近傍において,周辺よりも応力降下量が小さい可能性が示唆されている.○比抵抗構造解析浅部(5km以浅)比抵抗構造の精密化・3次元モデルを構築し、速度構造と比較検討するために、Audio-frequencyMT(AMT)観測を34点において実施した。AMT観測(10k〜0.1Hz)は、短周期側に特化した測定であるが、面的な測線網構築には有用である。新規のAMT観測は、低速度異常域を中心に、長野県西部地震震源断層の北東端を中心に配した。得られた電磁場データに対して、時系列解析を行ったところ、良質なMT応答が得られたが、観測域全域に共通する人工ノイズの混入が見られた。このノイズの影響は、5.6Hzから長周期に現れるが、ファーリモートリファレンスにより減ぜられることを確認した。予備的解析として,特徴的な地震波速度の低速度異常が推定されている樽沢測線における2次元構造解析を行ったところ、震源断層面に沿って低比抵抗体が推定され、また浅部に低比抵抗領域がパッチ状に存在することが分かった。
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