研究課題
宮城県を対象としたダウンスケールシミュレーションシステム(1.5kmメッシュ)のリアルタイム運用と、精度評価を本年度も継続して実施した。湿潤過程が関わる数値モデル表現力の改善を目指して、台風の雲解像シミュレーションと中国梅雨の降水システムのダウンスケールシミュレーションを実施し、その機構解明とモデル物理過程依存性について調べた。また、最終年度であり、各グループとも論文の作成に努力した。仙台空港でのドップラーライダー特別観測に合わせて、海風と冬の蔵王おろしのダウンスケール数値実験を行い、システムの検証を行った。局地循環の再現性能を検証した結果、特に、大気乱流の扱いに多くの課題があることが確認された。また、空港気象監視に向けて、ドップラーライダーのデータ同化の端緒的な研究を行った。観測システム実験の範囲ではあるが、良好な結果が示された。気象のダウンスケールの結果を、更にダウンスケールし、航空機の後方乱気流のシミュレーションを実施した。当該研究から得られた結果は、航空機の離着陸間隔の制御技術への応用が期待される。農業気象情報の高度化のテストケースとして、統計的ダウンスケールの結果にいもち病発生予察モデル(BLASTAM)を適用し、いもち病発現ポテンシャルの予測実験を行ない、その性能を確認した。当該システムの予測精度の向上のため、アンサンブル予報と力学的なダウンスケールの導入が課題として残された。
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