研究課題
中層大気における大気重力波、捕捉されたロスビー波、慣性不安定、対流圏界面付近の微細構造、トレーサーの層状・フィラメント状構造など、小さな空間スケール、および短い時間スケールを持った現象の特徴と中層大気の大規模構造・大循環・振動現象に対して果たす役割を調べることを目的とする。前年度開発し3年間のシミュレーションを行った対流圏から上部中間圏を含む高解像中層大気GCMの出力データをもとに、今年度は中高緯度対流圏界面と赤道成層圏QBOの力学に関する以下の研究を行った。・中高緯度対流圏界面直上では気温及び大気組成濃度は高度と共に急激に変動する。それら変動に対して大気放射及び大規模擾乱による断熱混合・極向き循環が重要であることが従来の研究から指摘されていたが、高分解能GCMを用いた本研究からは重力波活動に伴う小規模鉛直混合及び赤道向き循環が重要であることが明らかとなった。・高解像度気候モデルを用いて、成層圏QBOにおける赤道波及び慣性内部重力波の相対的な役割について調べた。QBO西風位相時には赤道波が25-50%、重力波が50-75%寄与していたが、東風位相時には赤道波の寄与は多くても10%程度であり、東西波長1000km以下の重力波の寄与率が大きい事が分かった。これらの成果は、本研究分野の主要な学術誌であるJ.Atmos.Sci.等に論文出版した。また主要な国際学会にて3件の、国内学会にて1件の招待講演を受けた。また、J.Met.Soc.Japanに出版した論文はIMSJ Awardを獲得した。本研究課題は今年度で終了するが、国際宇宙科学研究所の重力波チームという国際共同研究の枠組みの中で研究活動を継続することとなった。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (15件) 備考 (1件)
J.Met.Soc.Japan
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http://www-aos.eps.s.u-tokyo.ac.jp/~kaoru/