研究分担者 |
中井 俊一 東京大学, 地震研究所, 准教授 (50188869)
沼波 秀樹 東京家政学院大学, 家政学部, 准教授 (10266554)
角和 善隆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (70124667)
荻原 成騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50214044)
砂村 倫成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90360867)
|
研究概要 |
先行する研究で,日本海東縁,上越海盆にメタンプルームを多数確認し,海底に露出するメタンハイドレートも視認した。本研究の目的は,この海域でメタン活動が活発である地質学的要因を明らかにすることである。初年度には,以下の成果を挙げる事が出来た。 1.海底に発達する高さ数10メートルのマウンドでは,海底直下からメタンハイドレートが塊状あるいはネットワーク状に発達・分布している。メタンプルームはこのマウンド上で見られることが分かった。 2.「なつしま」でシングルチャンネル地震探査を行なった。この結果,海底下には流体の移動を示唆する特徴的な柱状イメージが得られた。これをガスチムニーと呼ぶこととする。ガスチムニー直上の海底にマウンドが発達すること,メタンの炭素同位体が-40パーミルと重い事から,メタン活動は深部ガスに由来すると結論できる。 3.海底堆積物中の間隙水の硫酸イオン濃度は深部ほど小さく,海底1-2メートルで濃度ゼロを示した.これは深部からのメタン供給が極めて強いことを意味する。 4.無人探査機によるメタンプルームの観察を行なった。海底から湧出したバブルは,海水と接してただちにメタンハイドレートに変わったことを視認した。気泡でなくメタンハイドレートの固体として浮上しているため高さ600メートルものプルームとなったと説明できる。 5.海底には大小の凹地が発達し,そのうち特に巨大なものが直径500メートルに達するポックマークである。小さなクレーター状の凹地の壁には塊状のメタンハイドレートが突出することがある。凹地の周辺には土砂が舞い上がり,吹き飛ばされたような関係が見られた。この事から,海底表層付近にメタンハイドレートが集積し,その量が一定限度を越えると,自らの浮力によって浮上し,その時,周辺の土砂を巻き込み,クレーター状の凹地を作ったと推定される。
|