研究課題/領域番号 |
19204049
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
|
研究分担者 |
沼波 秀樹 東京家政学院大学, 家政学部, 准教授 (10266554)
角和 善隆 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (70124667)
荻原 成騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (50214044)
砂村 倫成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (90360867)
|
キーワード | 日本海東縁 / 上越海盆 / メタンハイドレート / メタンプルーム / OSB変動 |
研究概要 |
7月、海鷹丸により隠岐堆、上越沖、秋田沖にて調査を実施した。ピストンコアリング調査19回、ドレッジャー調査3回、ニスキン採水器とCTDによる海底からの鉛直サンプリング7回、さらに、計量科学魚探装置による、海水中のプルーム調査が実施された。7月~8月には海洋研究開発機構の「かいよう」を用いて奥尻島西方の大水深海域においてピストンコアリング採泥調査を実施した。同時にシングルチャンネル地震波探査調査、SEABEAMによる精密地形調査を実施した。9月には上越海盆の海鷹海脚および上越海丘において「ハイパードルフィン」による潜航観察を実施、長期海水温変動を観測するため温度計を設置した。これら調査と採取したサンプルの分析により以下の新事実を明らかにすることが出来た。(1)調査範囲においてTL-1/D1およびTL-2/D2に相当する暗色層を認定した。(2)有孔虫の炭素14年代と広域火山灰により層序を確立する事が出来、暗色層の出現をほぼ同時間面としてよいことが分かった。(3)有孔虫、火山灰、暗色層層準を鍵として回収されたコア堆積物に年代目盛りを入れた。(4)メタンバイトレートが分布する二つの海嶺(海鷹海脚と上越海丘)で底生-浮遊性有孔虫の炭素・酸素同位体組成の経時変動を明らかにした。(5)炭素同位体組成は、最終氷期極相期に著しい負の異常をしめした。これは海底からのメタン湧出の増加で説明できる。(6)浮遊性有孔虫においてもこの時期、炭素同位体の負異常が認められた。海面付近までメタン湧出の影響が及んだのか?今後の検証が必要である。(7)酸素同位体組成も浮遊性と底生で最終氷期極相期に負異常であった。これは水深~900mの調査海域付近では海底まで塩分濃度の低い海水が発達したことを意味する。日本海の表層水の低塩分化モデルの再検証が必要である。
|