研究概要 |
琵琶湖における深層掘削計画は国際的に地球規模の環境変遷研究として注目されており,その堆積物採取は日本における環境変遷研究の発展にとって重要である.まず,2007年度には,のべ300kmにおよぶ音波探査により,琵琶湖全域の湖底堆積物分布の状況や堆積物構造・堆積速度分布などの基礎情報を収集し,ピストンコアリングを6地点で実施した.その解析概要(年代・堆積相・火山灰・堆積速度の地点間比較・初期磁化率・音波探査による地層の堆積様式解析など)を2008年5月の地球惑星連合大会および12月のアメリカ地球物理学連合秋季大会で発表した.2008年はピストンコア試料の詳細解析を進めるとともに,4月から5月にかけて琵琶湖湖心部において100m級の堆積物を2地点で採取できた(コアBIWO8AおよびBIWO8B).採取された堆積物は20層を越える挟在する火山灰の分析と広域火山灰との対比により,約20万年間および30万年間の時間をカバーすることを明らかにできた.この100m級試料を用いた各種の詳細分析のための試料採取をBIWO8Aコアについて実施し,あわせて研究打ち合わせを実施した.連続的な物理計測(色,密度,速度,磁化率など)を保存用の半割試料を用いて実施した.また,残りのBIWO8Bコアの詳細分析試料採取を2009年度に実施する.ピストンコア試料および100m級試料の分析を継続するとともに解析結果を国内学会(地球惑星科学連合大会および日本第四紀学会)・国際学会で報告の予定である.
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