研究概要 |
熱帯太平洋域の西縁の3地点,東縁の2地点から採取された海底コアに含まれる陸上高等植物起源バイオマーカー(生物起源有機分子)の水素同位体比分析から降水量変動を復元し,TEX86古水温推定法を用いて海面温度の復元することを目標に研究を進めている.今年度は,南シナ海コアMD97-2151コアおよびMD97-2146コアとサンゴ海MD05-2928コアのテトラエーテル脂質を追加分析し,過去3万年間のTEX86古水温変動を高時間解像度で対比した.その結果,最終融氷期における水温上昇は,サンゴ海が北部南シナ海よりも早く,大西洋域でも報告されているように,西太平洋地域においても南半球が北半球に対して先行していることが示された.また,サンゴ海の水温変動は南極気温変動と同調し,南シナ海の水温変動はグリーンランド気温変動と同調し,前者は後者に対して逆位相で変動していたことが明らかになった.さらに,東部熱帯太平洋ODP1239地点の分析を開始した.ガスクロマトグラフ同位体比質量分析計を用いて,n-アルカンの炭素同位体・水素同位体比の測定を開始した.
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