研究概要 |
本研究では,熱帯太平洋域5地点から採取された海底コアに含まれる生物起源有機分子を分析し,過去15万年間の熱帯太平洋大気対流活動を復元した.古水温の解析から,融氷期には,太平洋東縁では冷水舌が縮小,東西水温勾配が小さいエルニーニョに似た平均状態を保ちながら,全体として温暖化し,西縁では暖水塊が拡大したことが示された.脂肪酸の水素同位体組成から降水量復元を試みたが,石筍酸素同位体記録と矛盾した.石筍記録は古水温記録と調和的であり,歳差運動(2.3万年周期)に応答してエルニーニョ南方振動が長期的に変動し,熱帯太平洋の東西水温勾配と対流中心の位置が変化したことが示唆された.
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