研究概要 |
1.多核種・多次元NMR測定法の確立。本研究課題の一つの特徴は高度なNMR測定法により最大限に鉱物の局所構造を引き出すことである。それに関連して、(1)前年度末に導入した三重共鳴NMRプローブを用いて、^1H-X間だけでなく、X-Y間の二重共鳴測定(X,Yは共に^1H,^19F以外の核種)も少量な試料において実現した。(2)特にケイ酸塩相中の水の解明に役立つ^1H-^29Si間二重共鳴について、従来よりも感度の良い^1H-^29Si-^1H CPMAS測定に成功した。 2.含水相のNMRデータベースの構築。多数の含水結晶相(高圧・低圧相)について高速NMRプローブを用いて測定し、^1H NMRのデータベースを構築した。それにより、^1H NMRの化学シフトと水素結合距離の相関を正確に決定し、構造未知の物質の水素結合距離をより正確に予測できるようになった。 3.高圧含水鉱物の構造解明。MgO-SiO_2-H_2O系について、前年度で取り組んだphase D及びsuperhydrous Bのより詳細な検証に加えて、phase A. forsterite.wadsleyite,ringwoodite相も合成し、様々なNMR測定を行なった。それ以外の系では、高圧CAS相を無水及び含水条件下で合成し、水の含有量及びSi,Alの配位数と配置の秩序性を明らかにした。また、SiO_2のアナログであるAIPO_4系においては、複数の高圧相を発見し、それらの局所構造を詳細なNMR測定で解明した。
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