研究概要 |
1. 高分解能プロトンNMR測定法の更なる発展。高速1H MAS NHRと二次元1H CRAMPS-MAS NMRを使い分けて、多くの含水鉱物及び無機化合物のプロトンの局所構造を解明した。それを基に1H NMRのデータベースを構築し、1H化学シフトと水素結合距離の相関を正確に決定し、構造未知の物質の水素結合距離をより正確に予測できるようにした。また、1H MAS NMRと1H-29Siや1H-27A1二重共鳴測定により、含水ケイ酸塩急冷メルト(ガラス)の構造(含水種)を定量的に解明した。更に,準熱力学モデリングにより、広範囲組成の構造予想を可能にした。これらの成果はJ Am Ceram Socのfeature article及びGeochim. Cosmochim. Actaに掲載した。2. NMR crystallography法の樹立:高分解能NMRと粉末X線回折法の組み合わせによる構造決定法を確立し、新しい相の構造決定を可能にした。また、これまで溶液NMR分野で威力を発揮してきたJ結合を利用した高度な多次元固体NMR測定法を確立し、複雑な構造を有する物質においても豊富な原子間つながり情報を引き出せるようになった。3. 高圧含水及び無水鉱物の構造解明。上記の測定法進歩に伴い、複数の高圧鉱物の構造解析に成功した。topaz-OHの新しい高圧相IIの結晶構造を決定した。従来のtopaz-OH Iについても温度・圧力の上昇に伴い、nonstoichiometryと構造欠陥が生じることが分かった。これらはAm Mineralに投稿した。高圧CAS相を無水及び含水条件下で合成し、水の含有量及びSi, A1の配位数と配置の秩序性を明らかにした。成果の一部はAm Mineralに掲載した。AIPO4の3つの新しい高圧相を発見し、それらの結晶構造を決定した。成果の一部は日本鉱物科学会年会で発表した。
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