研究課題/領域番号 |
19204057
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 雅慶 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (90163576)
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研究分担者 |
河野 光雄 中央大学, 総合政策学部, 教授 (00038564)
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キーワード | 反E×B渦 / プラズマ / 誘起蛍光ドップラー分光 / 半導体レーザー / 中性粒子 / 流れ場 / 可視化 / 電荷交換反応 |
研究概要 |
本年度は、遅い中性粒子の流れを測定するため、半導体レーザーを用いた誘起蛍光ドップラー分光システムを完成させた。中性粒子と相互作用するプラズマの研究を行うためには、中性粒子の流れ場を可視化することが本質的に重要であるが、これまで測定法が確立していなかったために詳細な研究はなされていない。平成19年度に開発を開始し、光学系やS/N比の改善など個々の問題を解決しながらシステムを完成させた。20年度に行った最大の改良点は飽和吸収分光ユニットをシステムに組み込んだことである。飽和吸収スペクトルのラムディプを波長基準に採用することで、極めて高精度な絶対波長較正が可能となった。本研究で開発されたLIFドップラー分光システムは最大2m/sの分解能を持ち、これは従来の実験で得られていた精度を二桁改善したことになる。また、時間的安定性に関しても、5時間以上にわたってこの精度を維持できることが分かり、実験における本格的な使用に耐え得る基本測定ツールとしての可能性を有していることを実証した。さらに、反E×B方向に回転する渦が存在する条件で、中性粒子の流れ計測を行った。ドップラーシフトはx軸正の領域で負であり、x軸負の領域で正であった。すなわち、中性粒子の流れは中心軸に向かって内向きに流れていることがわかった。最大流速は約60m/secで、イオンの流れに比べて一桁低い値である。また、周方向流れはイオンと同じ向きの回転であることがわかった。中性粒子の流速はイオンに比べてかなり遅いが、密度はイオンに比べて一桁以上高いので、両流体が持つ運動量は同程度である。したがって、イオン-中性粒子の相互作用のチャンネルがあれば、イオンのダイナミクスが中性粒子の流れと相互作用を通じて相対的に決まっていくことになる。その典型例として、反E×B渦という流れ構造があるということになる。
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