今年度は大サイズプロトン付加水クラスターのサイズ選別赤外分光の達成のために、新だなイオン源の開発と赤外光源の整備を行った。 (1) イオン源の開発 イオン源として新たに高圧動作(〜100気圧)パルスバルブを使用し、これに放電に代えて電子衝撃イオン化を行うことで、冷却されたプロトン付加水クラスターH+(H20)nを質量分析器の性能限界であるn=200まで生成させた。これにより、従来の限界の2倍サイズにあたるクラスターの分光が可能となった。 (2) 差周波発生システムの再構築 赤外光源である差周波発生システムを見直し、これまでのLiNbO3結晶に代えてKTA結晶を用いた差周波発生を行った。これにより、結晶含有水による赤外発生光の波長ギャップを解消し、全3μm帯の連続波長掃引を可能とした。 このほか、プロトン付加水メタノール混合クラスターの赤外分光による構造解析や真空紫外光1光子イオン化を用いた新たな分光手法の開発を行った。
|