研究課題/領域番号 |
19205003
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
篠原 久典 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50132725)
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研究分担者 |
北浦 良 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (50394903)
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キーワード | 単層カーボンナノチューブ / 二層カーボンナノチューブ / DNA / 高速液体クロマトグラフィー / カーボンナノチューブ・ハイブリッド / 薄膜トランジスタ |
研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)を材料科学、電子デバイス、あるいは生体系へ応用する場合に、CNTを水溶性にする必要がある。現在までの、CNTの水溶化は主に表面に親水基を有機修飾することで行われていた。しかしこの方法は、水溶化は望まれるもののCNT表面に大きなダメージを与えてしまい、CNT自体の特有の電子・磁気物性を発揮できないという、大きな欠点があった。 本研究では、単層カーボンナノチューブ(SWNT)と2層カーボンナノチューブ(DWNT)に天然のサケ精子からのDNAをラップ(巻きつける)ことにより、純水中に高い分散度で溶解することに成功した。また、これらDNA-CNTを新たにナカライテスク社(京都)と共同開発したパックド・カラムを用いて、高速液体クロマトグラフィーにより長さ分離に成功した。分離は100nm~800nmの範囲で行われ、原子間力顕微鏡観察(AFM)から、高い分離で行われたことを確認した。AFM観察から、DNAはCNTの全面にラップされているのではなく、表面の30~50%程度がDNAに覆われていた。 さらに、長さ分離されたDNA-CNT(SWNTとDWNT)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を製作して、そのデバイス特性を評価したところ、移動度(1~2cm^2V^<-1>s^<-1>)とオン・オフ比(10^4~10^5)の両方で高いデバイス特性を示した。これは、DNAラップによるCNTの高い分散が実現したことにより、極めて高品質のCNT薄膜が形成されたためである。 以上の結果は、当初、研究計画で計画されたものより多くの情報と成果であり。研究目的以上の貴重な成果をもたらした。
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