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2007 年度 実績報告書

ポルフィリノイドに基づく新規なπ電子系の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 19205006
研究機関京都大学

研究代表者

大須賀 篤弘  京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80127886)

キーワードポルフィリン / 環拡張ポルフィリン / ポルフィリンテープ / メビウス芳香族性 / 芳香族性 / 2光子吸収断面積 / 反芳香族性 / 共役
研究概要

新しいポルフィリン化合物の開拓を行った。最大の成果は、オクタフィリンやヘプタフィリンヤヘキサフィリンなどの環拡張ポルフィリンに10属の金属イオンを錯化により、捻れたメビウス型分子構造を持つ錯体を単離し、その構造を詳しく調べたところ、メビウス芳香族分子であることを確定させたことである。メビウス芳香族性は、ずっと前から構造有機化学の重要な課題であり、通常の平面型分子では、環状に共役電子数が4n+2で芳香族性になり電子的に安定化する(Hucke1則)。これに対し、捻れたメビウスの帯のようなトポロジーを持つ共役系では、電子数が4nで芳香族性になるという理論予測(Heilbronner,Mobius芳香族性)があったが、その実現にはこれまで、誰1人して成功していなかった。2003年に、Hergesが捻れたアヌレンの合成を報告し、わずかの芳香族性があるとしたが、残念ながら、非芳香族と分類せざるを得ないほど、その芳香族性は小さなものに過ぎなかった。その点、われわれの合成した分子は、化学的に安定で、環電流、NICS値、2光子吸収断面積、HOMA値など、あらゆる指標が、強い芳香族性分子であることを示しており、世界初の明確な芳香族性をもったメビウス芳香族分子であると言える。その後、N-縮環ペンタフィリンのロジウム錯体もメビウス芳香族性分子であることがわかり、更に、[28]ヘキサフィリンが、溶液中室温では、メビウス芳香族構造の動的な平衡混合物であるが、温度を下げると一つのメビウス構造に凍結されること、またそれに応じて2光子吸収断面積が大きくなることを明らかにした。また、ある種のヘキサフィリンの化学反応で、縮環構造により、ねじれた構造が固定されたメビウス芳香族分子が生成することも見つけた。これらの結果に一部は公表され、国際的に非常に大きな反響を呼んだ。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Metakation of Expanded Porphyrins: A Chemical Trigger Used to Produce Molecular Twisting and Mobius Aromaticity2008

    • 著者名/発表者名
      Y. Tanaka, et. al.
    • 雑誌名

      Angew. Chem. Int. Ed. 47

      ページ: 681-684

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis and Characterization of meso-Aryl-Substituted Subchlorins2008

    • 著者名/発表者名
      E. Tsurumaki
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc. 130

      ページ: 438-439

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Peripehral Fabrications of a Bis-Gold(III) Complex of [26] Hexaphyrin(1.1.1.1.1.1)2007

    • 著者名/発表者名
      S. Mori
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc. 129

      ページ: 11344-11345

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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