オクタフィリンやヘブタフィリンヤヘキサフィリンなどの環拡張ポルフィリンを10属の金属イオンと錯化すると、メビウス芳香族分子が容易に生成することを発見した成果の展開として、N-縮環ベンタフィリンのロジウム錯体もメビウス芳香族性分子であることが明らかにした。続いて[28]ヘキサフィリンが、溶液中室温では、メビウス芳香族構造の動的な平衡混合物であるが、温度を下げると一つのメビウス構造に凍結されること、またそれに応じて2光子吸収断面積が大きくなることを明らかにした。また、ヘプタフィリンをトリフルオロ酢酸でプロトン化すると自動的にメビウス芳香族分子が生成することを見つけた。また、[26]ヘキサフィリンを単に酢酸中で加熱するだけで、側鎖にベンゾビラン環が縮環した生成物が得られ、これがメビウス芳香族性をしめすことを明らかにした。更に、メゾに3-thienyl基をもつ[26]hexaphyrinを加熱すると3-thienyl基がヘキサフィンのβに縮環子、はやりメビウス芳香族性を示すことを発見した。これらの結果に一部は公表され、国際的に非常に大きな反響を呼びつつある。
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