研究概要 |
本研究はこれまでの炭素-ホウ素結合形成に重きを置いた有機ボロン酸合成法とは対照的に,「炭素-ホウ素結合を保ちながら行う」合成法を開発しようとするものである。 本研究を通じ,ホウ素のマスキングを利用した新しいホウ素化合物合成法を開発する。本研究計画の中心となる基盤要素として,(1)有機ボロン酸のボロニル基の効果的なマスキング基の開発,(2)反復カップリングの繰り返し構造ユニットとして機能する,官能性有機ボロン酸の合成法開拓,(3)上記(1),(2)を活かした,新しい反復合成システムの構築,が挙げられる。 これらの研究項目で見出された知見と発生した問題点を互いに反映させながら,効率よく全体の研究目標の達成に向けた取り組みを行う。当初は主鎖骨格がπ共役系から構成される共役有機分子に対象を絞って研究を進め,その中で得られた知見をもとに,鈴木-宮浦反応以外の遷移金属触媒反応へのマスキング法適用を検討する。
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