研究課題
平成19-21年度の研究において、シリレン、ゲルミレン橋かけ配位子を用いる四核パラジウム及び白金錯体を合成し、その動的挙動、反応性について明らかにしてきた。本年度の研究では異なる金属を含む平面四核錯体の合成とその機能を検討した。単核のシリル白金(II)錯体とPd(0)ボスフィン錯体との反応を条件制御して行うことによって、3個のパラジウムと1個の白金が平面状に配列した四核錯体が生成することが明らかになった。この場合に平面四核の中心には常に白金が配置していること、反応条件として錯体のモル比と温度が重要であり、これを制御することによって、再現性良く反応が進行した。生成したPd3Ptl型の平面四核錯体は、臭化銅との付加物を安定に形成する、一級シランとの配位子交換を行うことによって、平面四核コアがボスフィン配位子で橋かけしたダンベル型八核錯体へと変化する、など、これまでの研究で見出された同核平面四核錯体と類似の性質を示した。一方では、その反応速度等には金属の違いによる差異を見出すことができ、これらを結合安定性に基づいて比較することを行った。本年度は研究の最終年度にあたるため、これまでに合成した平面四核錯体の構造と結合について理論計算結果を比較し、実験の結果との関連を検討することによって、研究の総括を行った。橋かけ配位原子をケイ素、ゲルマニウムと変化することによって、構造上の変化は小さいものの、各種付加反応は容易になることが明らかになった。さらに、中心に白金を配置させることによって、その反応性がさらに向上する可能性を見出した。これらについての検証をDFT計算による電子密度等の観点から行った。
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