研究課題/領域番号 |
19205011
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊原 博隆 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (10151648)
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研究分担者 |
高藤 誠 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50332086)
澤田 剛 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90240902)
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キーワード | 液体クロマトグラフィー / 有機・無機ハイブリッド / コアシェル構造 / 懸濁重合法 / シリカ |
研究概要 |
本研究課題は、高感度、かつ高選択的なHPLC用分離剤の開発を目的として、充填材担体の界面増幅・強調法の開発を目指している。具体的には、1、物理的な界面ラフネスの形成・制御と2、高分子グラフト化による化学的な界面形成の両面から研究を進めており、当該年度において実施した研究成果は以下のように要約できる。 1、物理的な界面ラフネスの形成・制御 昨年度までに確立した、シリカ粒子をシェル成分とするコア・シェル粒子の製造プロセスにおいて、シリカ粒子の化学修飾率や粒径を選択することにより、シングルレーヤーやダブルレーヤー、マルチレーヤーからなるコア・シェル粒子の作製が可能となった。また、シリカ粒子として多孔質粒子を使用した場合、希アルカリ水によって容易に除去することができ、結果として粒子表面にディンプル構造を形成させることが可能となった。 2、高分子グラフト化による化学的な界面形成とHPLCへの応用 化学的な界面増強法として、モノマーにカルバゾールを有するビニル化合物を使用し、ステロイドの異性体において従来にない高い選択性を示すHPLC分離が可能となることを確認した。 一方、グラフト化の方法としてN-アルキルフタルイミドを用いた交互共重合を採用した。その結果、さらに飛躍的に選択性が向上することが確認された。交互共重合のためのコモノマーを系統的に変化させることにより、ポリマー側鎖によって提供される多数のカルボニル基がゲスト分子と多重相互作用し、またN置換基とした導入した長鎖アルキル基(NMRによるとゴーシュが主)がカルボルニル基の周りに特殊なミクロ環境を与えていることを確認した。とくに優れた選択性としては、トコフェロールの分離があり、従来不可能であった17αと17βの異性体に対する完全分離に成功した。
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