研究概要 |
本年は鎖状高分子に対してグルコースの環状オリゴ糖であるシクロデキストリンがどのようにしてその軸分子の末端から入り,軸に沿って動くかについて検討した。まず,軸分子の末端のピリジニウム基にメチル基を結合した場合,その結合位置によって,シクロデキストリンの輪が軸分子に入る速度が大きく異なることがわかった。たとえば,メチル基がピリジニウム基の3位や4位に入った場合には入る速度は変わらないが,2位に入った場合にはその速度が著しく遅くなることがわかった。さらにシクロデキストリンが軸分子に入る方向が一定であることをみいだした。このことを利用してシクロデキストリンの輪が高分子鎖に対して一定の方向に並んだポリロタキサンを合成することができた。さらにメチルピリジニウム基を高分子鎖上に組み入れたところ,シクロデキストリンの輸は広い口(2級水酸基側)からの方が狭い口(1級水酸基側)からよりもはるかに速く並進運動することがわかった。また,このシステムによりシクロデキストリンの輪の並進運動の方向を一定方向にかたよらせることができた。
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