研究課題
基盤研究(A)
がんの克服は、現在の科学に課せられた1つの大きな命題である。本研究課題は、従来のがん診断プローブ、化学療法剤では不可能だった、がんの高選択的診断、治療を可能とする機能性医療分子の創製を目指すものである。すなわち従来の化学ベースの抗がん医療性分子は、がん細胞に集積した分子も未集積の分子も同じ機能を発揮してしまうため、診断においては高いバックグラウンドシグナルを発することにより早期がんの発見を困難とし、またがん以外の部位に非特異的に取り込まれた抗がん剤は重篤な副作用を引き起こしてしまうことが、大きな問題点であった。本研究課題ではこの問題点を「励起状態分子」の「緩和過程の精密制御」によって克服し、がん細胞に取り込まれて初めて機能する高度な条件判断能を持った抗がん機能性医療分子の創製を目指す。具体的には、がん細胞外ではほぼ無蛍光であり、これががん細胞に選択的に取り込まれることで強蛍光性へと変化するがん診断分子や、がん細胞に取り込まれて初めて光増感能を発揮する高機能性PDT薬剤の開発を行う。光機能性のON/OFFは、申請者がこれまでに構築してきた光誘起電子移動を原理とする設計法に基づき行い、これをがん選択的な取り込みを実現する抗体や糖タンパクと結合させることで、がん細胞のみを光らせる、あるいは殺傷する機能性医療分子を開発していく。さらに、蛍光内視鏡の最適化や超音波励起法と組み合わせるなどして、最終的にはin vivoでの診断、治療を実現し、化学的なアプローチによる抗がん分野の飛躍的進展を狙っていく。
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Nat.Med. 15
ページ: 104-109
J.Am.Chem.Soc. 129
ページ: 3918-3929