南極大陸の岩石サンプルから単離された南極地域由来細菌262-7株((1))及び262-8株((2))について電子顕微鏡(SEM)による形態観察、及び生育特性解析を行なった。 (1)16S rRNAの塩基配列に基づいて、262-7株の系統解析を行なった。その結果、262-7株はSandarakinorhabdus limnophilaと95%の相同性を示し、Sphingomonadaceae科の新属を代表する可能性があることが示唆された。SEMによる形態観察を行なったところ、262-7株は固体培地上に存在する菌の多くが触手状の突起物をもつ球菌であったが、一部に突起物のある桿状形態の菌体も観察された。また、本菌は液体培地では誘導期に球菌であり、定常期にかけて徐々に突起物が形成されることがわかった。一方様々な濃度のLB液体培地により菌を生育させたところ、低栄養の培地において生育が確認されたが、高栄養培地における生育は確認されなかった、この結果から262-7株は貧栄養微生物であることが確認された。 (2)16S rRNAの塩基配列に基づいて、262-8株の系統解析を行なった。その結果262-8株はStella vacuolataと90%の相同性を示し、Rhodospirillales目の新科を代表する可能性があることが示唆された。SEMによる形態観察を行なったところ、262-8株は細胞が枝豆状の連鎖菌であった、さらに原子間力顕微鏡により、本菌が鞭毛を有することが明らかになった。本菌も262-7株同様貧栄養微生物であり、生育温度範囲は5~30℃(至適生育温度25℃)、生育pH範囲は6.0~8.0(至適pH7.0)、生育塩濃度範囲は0.10~2.0%(至適塩濃度0.50%)であった。本菌をConstrictbacter antarcticusと命名し、新科提案を予定している。
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