研究課題/領域番号 |
19205026
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
谷口 尚 独立行政法人物質・材料研究機構, ナノスケール物質萌芽ラボ, グループリーダー (80354413)
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研究分担者 |
渡邊 賢司 独立行政法人物質・材料研究機構, 光材料センター, 主幹研究員 (20343840)
小泉 聡 独立行政法人物質・材料研究機構, センサ材料センター, 主幹研究員 (90215153)
小林 一昭 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主幹研究員 (00354150)
大場 史康 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90378795)
山田 貴壽 独立行政法人産業技術総合研究所, ナノチューブ応用研究センター, 研究員 (30306500)
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キーワード | 六方晶窒化ホウ素 / 深紫外線発光 / 金属フラックス結晶成長 / 自由励起子発光 / 電子線励起型紫外線発光デバイス / 紫外線殺菌 / グラフェンデバイス用基板 |
研究概要 |
本研究の目的は、六方晶窒化ホウ素(hBN)の深紫外線(DUV)発光材料としてのポテンシャルを、世界に先駆けて開花させることである。 H22年度はこれまでに有用性を見出したNi系合金溶媒を中心とした常圧下での高純度hBN結晶の液相成長並びにバリウム系溶媒を用いた高圧合成法により,高純度hBN結晶合成を行った。 hBNの発光デバイス応用のための基礎的な取り組みとして、昨年度に引き続きDUV発光素子を試作した。 H21年度において、hBN単結晶粒子を発光層に用い、スピンド型の加速電子線源で励起することにより、光出力0.2mWの安定遠紫外光源の試作に成功した。H22年度は光源となるhBN単結晶の粒子径を,品質を維持したまま10μm以下に低減し、発光層としての搭載密度を高める等の改良により、光出力1mmW近くまで,特性を向上さえた。これにより実際の応用試験として、細菌(ブドウ状球菌)の殺菌テストを行い、その有用性を確認した。 また、遠紫外発光デバイスとしての応用と異なるが、現在新たな電子デバイスとして注目を集め、世界各国で活発に研究が進められているグラフェンデバイスの特性発現において、グラフェンのキャリアーの散乱を生じない高電気的絶縁性・原子レベルで平滑な基板として,本研究で得られた高純度hBN単結晶の有用性が明らかとなった。 一般的にグラフェンデバイス用基板として用いられているシリコン基板上の酸化膜は平坦性に乏しく、またグラフェンのキャリアーの散乱因子を内包している。そこで、当該基板を除去したグラフェンの架橋(宙づり)構造が採用されてきたが、この架橋構造デバイスの作製は容易ではなく、更にこの架橋構造ができるデバイス面積には制限があり、これが真の特性発現の制約となっていた。今回、高純度hBN単結晶を用いることで、複雑な電極形状の形成が可能となり、グラフェンに本来備わる高移動度伝導の一端等を引き出すことに成功した。
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