本研究の目的は六方晶窒化ホウ素(hBN)の深紫外線(DUV)発光材料としてのポテンシャルを、世界に先駆けて開花させることである。 hBNはこれまで断熱材、絶縁材料として工業的に活用されているが、高輝度DUV発光を呈するワイドバンドギャップ半導体として応用は未踏であった。2004年にその発光特性が見出されて以来、その特性の理解と制御手法の確立が重要な課題であった。 本研究課題では、当初の反応性フラックスを用いた高圧合成法から、より汎用的な合成プロセスである常圧下の液相成長法による合成技術の開拓を行った。 hBN半導体化へのドーピング制御は挑戦度が高いが、本研究課題により本格的に取り組むべきテーマであると捉えている。ドーピング研究は、反応性溶媒を用いた高圧合成法を中心とし、理論的予測との連携の下で基礎的な取り組みを行った。 hBNの発光特性の理解を進める上では光物性の詳細な測定と理論的予測との整合を勘案した取り組みが重要である。高圧合成により得られた高純度hBN単結晶を中心に、その光物性についての詳細な検討を行った。 また、将来に向けたhBNの発光デバイス応用研究を加速するための基礎的な取り組みとして、DUV発光素子を試作し、その特性を評価した。
|