研究課題/領域番号 |
19205029
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
出来 成人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10101065)
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研究分担者 |
水畑 穣 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10283871)
梶並 昭彦 神戸大学, 環境管理センター, 准教授 (10169443)
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キーワード | 液相析出法 / 逆相ミセル / 酸化チタン / アナターゼ / ナノ溶液 / 異相共存場 / Ti02(B) / 液-液界面 |
研究概要 |
ナノ制限空間内に束縛された分子・イオン種はバルク場とは異なった振る舞いを示すことが報告されており、ナノ反応場として化学反応に対する効果を検討することは非常に興味深い。本報告においては常温・常圧下にて金属酸化物が析出する液相析出(以下LPD)法を用いて、熱力学的に安定な逆相ミセル(以下RM)ナノプール内での析出状態を調査することにより、ナノ制限空間の効果に関して検討を行った。 エチレンオキサイド(以下EO)ユニットを親水基として有する非イオン性界面活性剤トリトンX-100(以下、TX100)および油相分散媒として1-ヘキサノール、シクロヘキサンを混合したものをRM溶液とした。前駆体として(NH_4)_2TiF_6およびH_3BO_3水溶液をRM溶液に均一相になるまで撹拌混合した後、30℃一定で所定時間反応させた。また親水基の影響を検討するためにEOユニットのみで構成されるポリエチレングリコール(以下PEG)をLPD反応液に溶存させ比較検討した。反応開始数分後より単分散なナノ粒子の形成が観察され、Wo=[H_2O]/[TX100]に従って平均粒子サイズの増大が確認された。この結果はDLS測定から見積もられたRMサイズと相関しており、ナノプール内での反応が示唆される。またXRD測定結果からWoの減少に伴いTiO_2(B)が優先的に結晶化することが明らかとなった。対して同一H_2O/EO条件におけるPEG共存系ではバルク反応場で確認されるアナターゼ型TiO_2またはNH_4TiOF_3結晶相が得られた。このようにPEG系のような非制限場と比較してRMナノ制限場においては、核形成・成長が場の制限を受けるために局所的な異相構造を有する反応場において生成に有利な結晶相が生成したものと考えられる。
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