研究課題/領域番号 |
19205029
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
出来 成人 神戸大学, 工学研究科, 教授 (10101065)
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研究分担者 |
水畑 穣 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (10283871)
梶並 昭彦 神戸大学, 環境管理センター, 准教授 (10169443)
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キーワード | 液相析出法 / 金属フッ化物 / 水溶液内平衡反応 / 液-液界面反応 / 酸化チタン薄膜 / 電位勾配 |
研究概要 |
本年度においては、従来行ってきた液-液界面における析出挙動^<2)>について金属酸化物の組成および構造に対する反応場が与える影響について検討を行った。さらに液-液界面に電位勾配を付与することにより、その電位差が反応系に与える影響についても検討を行った。光学顕微鏡観察の結果、反応開始から4h経過後の液-液界面には島状の析出物が観察され、時間の経過と共に界面の面内方向への成長が観察された。24h反応後の試料についてSEM観察を行ったところ、有機溶媒側の表面形状は非常にフラットであった一方、反応溶液側の表面形状はラフネスの多いものであった。この結果より液-液界面での反応においては、界面を反応開始点とし、LPD溶液側への結晶成長が起こっているものと考えられる。また、Raman分光法による試料の組成分析を行ったところ、TiO_2-anataseとNH_4TiOF_3の存在が確認された。これらの結果から、液-液界面におけるLPD反応プロセスは、初期にNH_4TiOF_3が析出し、次にNH_4TiOF_3からのフッ素引き抜き反応により総析出量の変化が無い状態でTiO_2-anataseの増加が生じ、その後液-液界面における析出物を基板として固-液界面反応が起きることが明らかとなった。次に液-液界面に電位勾配を生じさせ、実験の析出量の電位依存性を示した。この結果から、界面に電位差が生じている場合には析出量が増大し、その量は電位差の絶対値が大きくなるほど増えることが確認された。これは、界面付近におけるイオンの配向状態に変化が生じ、析出量に影響をあたえるものと考えられる。
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