微結晶SiOや低温成長微結晶3C-SiC(cubic SiC)を接合形成に用い、さらに新規な固定電荷制御パッシベーション膜を開発することにより、3年間の研究期間内にエネルギー変換20%以上を達成することを目指して研究を行った。最終年度の成果は以下のとおり。 (1) a-AlO/Si界面の評価と負の固定電荷形成のメカニズム解明 原料にトリメチルアルミニウムと二酸化炭素を用いて、VHF-PECVD法により形成したa-AlOパッシベーション膜には、1×10^<12>/cm^2以上の負の固定電荷が存在することが明らかとなったが、負の固定電荷の生成メカニズムは、いまだ解明されていない。そこで、本年度は、まず負の固定電荷生成のメカニズムを理論面、ならびに実験面から検討した。その結果、界面の数ナノメートルに形成される極薄膜の酸化物層と、欠陥を終端する水素が、パッシベーション効果に大きく寄与していることが明らかとなった。 (2) a-AlOポイントコンタクトセルの研究 基板にp形Si、ワイドギャップn形層に微結晶3C-SiCを用いて、a-AlOを裏面パッシベーションに用いたポイントコンタクトセルを試作した。界面層ならびにa-AlOパッシベーション膜、さらには、ポイントコンタクト構造の最適化により、微結晶3C-SiCを用いたヘテロ接合太陽電池としては、世界で初めて15%を超す変換効率を達成した。 (3) SiO系ヘテロ接合セルの性能評価 p型Siの光照射側にn型アモルファスSi/アンドープSiO界面層を、裏面にp型微結晶SiOを用いた新型ヘテロ接合Si太陽電池により18.5%の変換効率を得ており、ほぼ変換効率目標を達成した。
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