研究課題
H20年度は、スピン流、磁界、電圧が誘起するスピンダイナミクスと大きなトンネル磁気抵抗効果を組み合わせることにより電気信号の増幅が可能であるか否かを検討した。特にH20年度は電圧印加により発生する磁気異方性の変化により磁化方向を制御することに集中して実験を行った。具体的には、Au/Fe超薄膜/MgO/ポリイミド/ITOの各層からなる接合を作製し、AuおよびITO電極間に電圧を印加した。その結果、Fe層の膜厚を3原子層程度とすることにより磁化の方向が電圧によって大きく変化することを磁気光学効果による磁気ヒステレシスの測定より見出した。測定の結果、Fe/Au界面に発生する垂直磁気異方性の数十分の一程度の異方性を電圧によって変化することが出来ることがわかった。この結果、および、FMRによるFe超薄膜のダンピング特性の評価結果を元にマクロマグネティックシミュレーションを行った結果、この程度の磁気異方性の変化であっても印加する電圧をパルス状にすることによって磁化反転が可能であることを見出した。この結果より、電圧によって磁気ダイナミクスを引き起こすことによってもスピン系から増幅作用を引き出せる可能性が高いことを実証した。
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Appl. Phys. Lett 94
ページ: 032501
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nature nanotechnology