研究課題
本研究の主装置である「超高真空極低温カー効果測定装置」を改良すると同時に、さまざまな試料を用いて実際の計測を開始した。また、マイクロ4端子表面伝導度測定装置を用いて、磁性不純物原子を吸着させた表面系の電気抵抗の温度依存性を詳細に測定した。(1)テスト試料として、Si基板上に20原子層程度の鉄薄膜を蒸着した試料を測定した結果、ヒステリシスループが正しく測定されていることを確認した。これにより、装置が清浄に動作していることを確認した。(2)Si基板の清浄表面およびインジウム吸着表面の磁化曲線を測定したところ、Siバルク結晶基板の反磁性に起因する特性を検出することができた。(3)Si(111)-√<7>×√<3>l-In表面上にGd原子を1原子層程度吸着させて形成した√<7>表×√<7>表面は、低温で表面垂直方向に磁化容易軸をもつ強磁性表面であることがわかった。室温では磁化は見られない。(4)鉄原子内包のフェリチンを還元された分子層を測定したところ、強磁性が確認された。(5)表面2次元自由電子系であるSi(111)-√<7>I×√<3>-In表面上に微量のコバルト原子を吸着させると、近藤効果に起因する電気抵抗の異常が観測された。また、コバルト吸着量を増やすと、RKKY相互作用に起因する抵抗減少も低温で観測された。これは、本研究が目指す表面希薄磁性である可能性が高いので、平成21年度において、超高真空極低温カー効果測定装置を用いて磁化状態を測定する予定である。
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