研究課題
細胞中のたんぱく質や核酸には硫黄や燐等が含まれ重要な役割を担っている。これらの元素の正確な位置を決めることは生命科学の基礎研究にとって極めて有用なことである。本研究では、光学顕微鏡に比べて1桁以上の分解能を有するX線顕微鏡を利用した新しい顕微鏡を開発する。注目する元素の吸収端は波長0.5nmのX線領域に存在し、それらの3次元分布を高分解能で求める。平成19年度はこのX線領域に適用可能なX線顕微鏡用光源とX線ミラーの基礎データを得た。(1)波長0.5nmX用ウォルターミラーの製作X線顕微鏡用ウォルターミラー母材の研削・研磨、真空成型レプリカ、およびミラー蒸着を試みた。ミラー母材(タングステンカーバイド)の研削・研磨はNC旋盤を利用して行い、研磨精度5nm以下を得た。レプリカ材はパイレックスガラスを用い、母材形状に近い成型が出来た。ミラー蒸着のために各種ターゲットのレーザーアブレーションコーテイングを試みた。(2)短波長(0.5nm)パルスX線の生成レーザープラズマX線の短波長化は、励起Nd-YAGパルスレーザーのパルス幅を従来の8ナノ秒から100ピコ秒以下に短くすることによって行うことにした。本年度は波長10nmから0.5nm近辺まで同時計測可能な透過回折格子分光器を構築した。分光器の性能評価のために従来の8ナノ秒レーザーを用い、各種ターゲットからのプラズマ軟X線スペクトルを得た。重金属ターゲットで1nm近辺の短波長軟X線が得られた。
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REVIEW OF SCIENTIFIC INSTRUMENTS Vol.78, No.7
ページ: 073706 1-7